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2011年エドガー賞最優秀長編賞、CWA賞スティール・ダガー賞受賞作。

Lock ArtistLock Artist
(2011/06/09)
Steve Hamilton



★★★★★

the Lock Artist とは、どんな錠でも開けることのできる、芸術的なまでの腕前を持った金庫破りのこと。

8歳のとき、マスコミに"the Miracle Boy"として取り上げられるも、一切口をきけなくなった少年 Michael。17歳のとき、ある事件がきっかけでその才能に目をつけられ、金庫破りとしてプロの犯罪組織から仕事を請け負うに至る。

刑務所で服役中らしき主人公の手記は、二層の時間軸で足跡を語る。プロの錠前破りになるに至った経緯と、ポケベルで呼び出され犯罪に手を貸す日々と。どちらのストーリーラインもだれることなく展開し、先を急ぎたくなる。やがてその時間差がどんどん縮まって、いやがうえにも緊迫感が増すのだ。しかしなぜ少年が声を失ったのかは終盤まで明かされない。淡々とした筆致ゆえに無言の心の叫びはより痛々しい。

全神経を指先に集中させて微細な違いを感知し、解錠する描写がスリリング。凄惨な場面がある中で、アメリアとの出会いと交流が切なく美しい。

二層に見えたストーリーラインは、実は三層、四層に折りたたまれていたことがわかる。そして、行きつ戻りつしていた場面場面が、最後には一巻の巻物としてつながってくるのだ。

一級のクライム・ノベルであると同時にラブストーリーでもあり、主人公が過去から解き放たれ魂を再生させる物語。ラストにやられたーーー!

Audibleの朗読がいい雰囲気だったので、聞き読みしました。しかし、クライム・ノベルの聞き読みはどっぷりその世界に浸りすぎてしんどかった~。血なまぐさい描写が耳から入ってくるのはあまりに生々しすぎました。だったら読むだけにすればいいのに、最後まで聞かなきゃもったいないというビンボー根性。(笑)

でも、構成の妙といいスリリングな描写といい、無言ゆえ抑制された情感といい、おもしろかったーーー!しかも英語がシンプルで読みやすい!クライム・ノベルが好きな方にはかなりおすすめです。

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2012.01.26 / Top↑
去年、衝撃的な出会いをした『オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン』。今週は主演した二人、ラミン・カリムルーとシエラ・ボーゲスが来日していました。

そんなわけで、私まで落ち着かない毎日。
特に今日は、四季劇場[海]でのイベントの模様がUSTREAMで配信されるというので、午後1時にはPCの前にスタンバってました。観覧の申し込みもしたのですが、招待150組に応募総数2500だったそうで、そら当たらんわなぁ。

んで、ラミンとシエラのパフォーマンスに圧倒されて、午後はガッツリ読書の予定がぼ~~~っとしてしまってほとんど手につかず・・・。

そのアーカイブを劇団四季が、早速アップしてくれているのです!
ありがとう!四季!



ドキドキしながらPCの音量はマックスに。耳にはヘッドフォン。ディスプレイがテカるので、カーテンしめて部屋を暗くし、息をつめて待ってました。

司会者の言葉のあと、幕があがるとそこにはラミン・ファントム、シエラ・クリスティーヌが!!!!!

なんとオープニングからタイトル曲!

ワタクシ、PCの前で思わず「きゃ~~~!!」と叫んでしまいましたわ。
なんというのでしょう、舞台衣装を着ているわけでもないのに、そこにただよう空気はまさしくあの舞台そのものだったのです!!二人ともすっかりなりきっていましたねー。

17日にはWOWOWプライムショーでも歌ってくれた二人ですが、WOWOWのときのラミンは、素のままで楽しんで歌っている感じでした。それでも素晴らしかったですが。

それが、ラミンってほんとに舞台のために生まれてきた人なんだなぁ~~!
本気度100%!!あのオーラ!!存在感!!声!!!
そしてまさかの手の演技まで入ってましたね~~!!!

今日観に行かれた幸運な方々、心臓止まりそうになったり鼻血出ちゃったりした人はいないのでしょうか?涙した人はいっぱいいるでしょうね。

伴奏もうれしいことに生オケ!最後は高井さんも加わって、シエラがロイヤル・アルバート・ホールのサラ状態になっていました。ファントムは二人ですが。

なんというか、スポーツ中継などでもそうなのですが、同じ時間軸にいるというのは、こうも人を興奮させるものかと思うのですね。生で見ているわけではないのに、PCの前なのに、今、日本で、東京で彼らが歌っているのだと思うと、私も劇場の客席にいるかと錯覚するくらい、息を呑んでパフォーマンスを見つめていました。いくらYouTubeを見たからからといって、今日のエキサイティングな気持ちは蘇ってこないんだなぁ。(生で見られなかった方、ごめんなさい!)

ラミンもシエラもまめにツイートしてくれて、日本は好印象だった様子。また来たいと言ってくれているけど、ラミンはもしかして具体的な話でもあるのか?

そして明日20日は、『めざましテレビ』でラミン、シエラ、高井さんへのインタビューの模様が放映されるとか。ありがとう!フジテレビ!
http://www.shiki.jp/navi02/medianavi/#017245
2012.01.19 / Top↑
Mickey Haller シリーズ第4作。これは Audible の朗読がよかったので聞き読みしました。

The Fifth WitnessThe Fifth Witness
(2011/11/10)
Michael Connelly



刑事専門の弁護士だった Mickey Hallerも、不況のあおりを受けて支払能力のあるクライアントが減り、民事にも手を出すことに。昨今は住宅ローンの債務不履行で持家差し押さえの危機にある人々を相手に、小銭を稼いでいる。そんな顧客の一人、Lisa Trammel が、Lisa の家を差し押さえにかかっている銀行の副社長 Mitchell Bondurant を殺害した容疑で逮捕された。銀行への抗議運動の先頭に立っていたことから、真っ先に容疑者として名前があがったのだ。Lisa に不利な証拠があがる中、どうやって無罪の評決を勝ち取るのか?

★★★

シリーズ第1作の"The Lincoln Lawyer"が傑作なので、こういう評価になってしまうのです。"The Reversal"同様、おもしろくないわけじゃないんですよ。これがシリーズ初めて読む作品だったら★★★★です。法廷劇は緻密な描写で、Mickey の弁護技術は十分堪能できるし、検察官、判事との丁々発止のやり取りも読みごたえあります。だけど、せっかく緻密に論理展開しているのに不満の残るのは・・・う~~これ以上はネタばれになるので書けません。

でも、これまであまり思い入れのなかったこのシリーズですが、今後がかなり楽しみになってきました。脇のキャラクターがようやく彩りを得て動き始めた感じです。元妻 Maggieと娘、調査員 の Cisco、運転手の Rojas などなど、みんないいキャラじゃないですか。特に Cisco、もっと活躍させてはいかがかと?

また、かなりの俗物だった Mickey も、これまでの事件を受けて徐々に変容している様子がうかがえます。さらに次作では新たな展開を見せる模様。これは次が待ち遠しいです!

2012.01.15 / Top↑
Michael Connelly の未読本をためてしまった!最近優先順位が下がっていた Connelly だけど、Harry Bosch シリーズ最新作の "The Drop" が評判よさそうなので、早く追いつくことにしました。

"The Revearsal" は、Mickey Haller シリーズ第3作でありながら Harry Bosch ものでもあるという、ファンにとっては見逃せない作品です。

The Reversal (Harry Bosch)The Reversal (Harry Bosch)
(2011/09/01)
Michael Connelly


刑事弁護人専門の弁護士 Mickey Hallerは、地方検事から Jason Jessup 事件の裁判で検察官として法廷に立つよう依頼される。Jason Jessup は、24年前に12歳の少女殺人の容疑で起訴され、終身刑の有罪判決を受けて服役中だった。ところが科学捜査の進展によるDNA鑑定の結果、少女の着衣に付着していた精液は別人のものであるという新証拠があがり、カリフォルニア州最高裁は原判決を破棄し、郡裁判所に事件を差し戻したのだ。検察側は、訴追を取り下げるか、再審にかけるかの選択を迫られていた。Mickey Haller は、捜査担当にHarry Bosch を指名して、検察側として裁判に挑む。

以下、ネタバレはしないつもりですが、未読の方はご注意を。
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2012.01.09 / Top↑
Kindle にダウンロードしたサンプル、タイトルだけ見ても一体どんな本なのやら、いつどういうきっかけで入れたのやら見当もつかないものがいーっぱい。(苦笑)

どうやらこの本は、2011年度の「このミス」で3位に入ったことから興味をもったらしいです。それなら読んでみよ。

City of Thieves: A NovelCity of Thieves: A Novel
(2009/03/31)
David Benioff



City of Thieves [Kindle Edition]

英語が読みやすくて語り口が絶妙!★★★★

今はフロリダに住むロシア系移民の祖父が、ライターの孫息子に初めて語った戦時中の体験談、という体裁。

1942年、ドイツ軍包囲下のレニングラード。17歳の Lev は、夜間外出禁止令違反と略奪罪でソ連軍に逮捕されるが、ある任務と引き換えに死刑を猶予される。その任務とは、NKVDの大佐の娘の結婚式のため、6日以内に卵を1ダース調達すること。補給を絶たれて飢餓地獄のレニングラードの一体どこに卵があるというのか? Lev は相棒の脱走兵 Kolya とともに卵を求め、極寒の最前線をひたすら歩く。

戦争もので暗い話かと思ったら、卵を持って来いだなんて。ばかばかしいまでにおかしい。

軽妙な語り口にすぐに引き込まれました。

饒舌でイケメンで女性にもてる Kolya に対し、純でじれったいほど不器用な Lev。下ネタ満載の会話に、男子ってこういうバカな話するよね、と頷くばかり。そのユーモラスな掛け合いはリアリティがあります。

飄々とした Kolya の人物造形がすごくいい!なぜか Kolya のセリフの部分だけ、キンキンの高い声が脳内に響きました。こういうことってあまりないのに、それだけ Kolya が生き生きしてるってことかな?

二人のやりとりはユーモラスなだけでなく、若者特有の繊細さや劣等感もよく表していて秀逸です。

戦時の極限状況下で人間がどんな行動に出るか。卵を求めて行きつく先々での描写は残酷で凄惨なのだけれど、コンビの掛け合いがそれを中和して全体を流れる雰囲気は明るいのです。こういう戦争の描き方もあるのか、という驚き。

ほんの数日間に培われた友情と淡い恋心。何度も命の危険にさらされる中で、気弱でおどおどしていた少年は大きく成長します。

可笑しさの中にそこはかとないペーソスがただよい、ラストは思わずウルウル、そしてニヤリ。

読後感は爽やかです。

2012.01.04 / Top↑
新年あけましておめでとうございます。

今年のお正月は、自宅で静かに過ごしています。
元日は、映画『ニューイヤーズ・イブ』で俄然注目を浴びた、かどうかはわかりませんが(笑)、私としてはとても気になった Times Square のカウントダウンイベントをライブストリームで見ていました。NY市長とともに 2012年の Ball Drop のボタンを押したのは Lady Gaga!




同じくこの映画を気に入っている娘とともに50分もパソコンの前にへばりつきました。Gaga のライブはABCの番組内なのでウェブでは見られませんでしたが、ともかくものすごい熱気と興奮が伝わってきました。

みなさまにとって、今年が幸せに満ち溢れた一年でありますように!

人生に出会いあり。自分の多読生活が今年はどんな方向に転がっていくかわかりませんが、みなさまとともに多読の楽しみを共有できればうれしく思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします!

2012.01.02 / Top↑